NPO法人 若駒ライフサポート

私たちは「どんなに障がいが重くても」生まれ育った街・地域で暮らせることを願って、
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ブログ『通所事業所の経営困難を考える』

投稿日:2016年3月10日(木)

2月始めに、近くの通所事業所が経営不振により急遽閉鎖する、というニュースが突然入りました。そして、従業員も全員解雇というショッキングな内容でした。私たちは、相談を受けている何人かの障がい者がそこを利用することになっていたので、まずその方達の対応に追われました。その後、事業所からの説明会が開かれて、その結果、他の法人への事業委譲を検討しているということで、ひとまず閉鎖は回避され、当面は事業継続になりました。

「ほっと」している利用者や「他の事業所へ移る」という判断をした利用者まで、様々な反応でした。私たちは、他法人への委譲の時期やその見通しがどうなのか不安をもってしまいました。

活動場所が広い事業所で入浴設備なども揃っており、通所施設としては理想的な場所でしたので、経営者の想いはとても理解できました。しかし、具体的な原因はわかりませんが、想定していたような運営状態に至らなかった為か、今回のように残念な結果となってしまいました。

今までの地域福祉は、利用者と共に通所施設づくりをして来ました。若駒ライフサポートも、30数年前になりますが、障がい児やその親御さん達と一緒に、手作りで通所施設を作ってきたという歴史があります。しかし、2003年の法改正以降、障害者福祉は「措置」から「契約」「自己選択自己決定」へと、考え方が大きく変わり、現在、福祉は「サービス」になり、利用者は福祉サービスを自ら選択して契約することで通所することになりました。その事は良いことですが、運営する側と利用する側の関係が少しずつ変化してきているように思います。運営する側はより良いサービスを作っていかないと利用者から選んでもらえなくなります。ですから、様々なニーズに応えていけるように入浴や給食の提供、送迎なども行います。利用者も個別なニーズに応えられる事業所を選びます。しかし、新しく開いた事業所は、利用者の個別ニーズがより密で、様々な支援が必要な方達が集まるので、その多様な介護ができるスキルを求められることになります。その結果、利用者を多く確保するには時間がかかってくるのは必然になります。

私は、これからの地域福祉サービスは地域のニーズを把握することが大切になると思います。その為には、相談支援事業所や福祉サービス事業所と連携していくことが必要になってくるとも思います。そして、働く人たちの人材育成が必要不可欠です。それでも運営を安定させるには数年かかります。その為にも、家賃補助の制度は継続してもらいたと思います。

今回のケースから、私たちはこれからどのような運営をしていくことが必要なのかを考える機会になりました。重度障がい児者や支援を多く必要とする障がい者にとって、未だ選択できる程事業所が多くはないのが現状です。ですから、地域福祉のネットワークをより密にしながら、一緒に考えていけるように事業所間の連絡会が出来たら良いのにと願います。

 

仮認定NPO法人若駒ライフサポート

理事長  大須賀 裕子

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