NPO法人 若駒ライフサポート

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ブログ『自宅で看取るということについて』

投稿日:2014年11月19日(水)

 先日、八王子市内で訪問診療をしている在宅医の先生を囲んで、在宅での重度障害者の看取りに

関する事例検討会を行いました。この先生は今年だけで80人の看取りをされています。週に2人

のペースで看取っているそうです。お年寄りの看取りが多いそうですが、中には癌の末期の方も看

取っています。その先生は24時間夜間診療もしているので、夜中でも患者宅へ往診に行っていま

す。今回の事例は、その先生が初めて重度の障害者の方(Aさん)の看取りをした事例です。
 

 まず、在宅医の先生はAさんの主治医に託されてから、1年以上も訪問診療を続けられました。

その間の先生同士の連携は感動する内容で、Aさんの状態からその対応の仕方まで具体的にメール

で交換していたそうです。その連携があったからこそ、自宅での看取りができたのだと思いました。

在宅医の先生は、主治医から依頼があった時は「単に死亡診断書を書く医師として頼まれたのでは

なく、在宅で少しでも健やかに生きていけるようにお手伝いする」―そのように往診していたと話

していました。
 
 次に、看取りをした訪問看護師さんからの話しを聞きました。Aさんが亡くなった当日の朝、訪

問すると先生が先にいて、Aさんの容態が良くないことを告げられたそうです。先生が次の往診に

出たその5分後に、Aさんは心臓停止されました。お母さんと確認した後、先生に電話をして40

分後に先生が来てくれて死亡確認しました。その看護師さんは「まさか、こんなに早くに亡くなる

とは思っていなかった」と話していました。主治医は病院から自宅へ戻った時点で1ヶ月~2ヶ月

位の命になると思っていたそうですが、自宅で1年以上命をつないで頑張っていたと言っていまし

た。容態が悪くなってからはとても早くに息を引き取りましたが、自宅で1年以上も過ごせたこと

は凄いことだったと思います。
 
 さらに、ご家族はこのような状態になったことをどのように思っていたのかを話しました。亡く

なる数日前からAさんの状態は良くなかったそうです。お母さんは色々な先生に電話で相談されて

いました。病院へ搬送して受け入れると言ってくれた先生もいました。しかし、最後は訪問医に連

絡したそうです。そして亡くなる前日に先生が訪問診療してくれて、容態が悪く病院に行っても治

療は難しいと話しを聞いたそうです。その時に家で看取る覚悟をしたと話していました。そして、

次の日に先生と訪問看護師が看取ってくれました。ご家族は家で看取れた事を納得されていて、そ

の後お母さんは介護の仕事をしたいと思っていると話されていました。今回の事例を通して、重度

障害者は病院で死を迎えるだけでなく、自宅で看取りが出来ること、そして、その選択があるとい

うことを教えてくれました。
 
 重度障害者の看取りを通して、どこまで治療をするか、また死をどのように迎えるかはそれぞれ

の家族の意見があると思います。しかし、本人と家族が自宅で最期を迎えると覚悟した時は、少な

くとも今回の事例のように、家族以外の人が一緒に看取りをする体制をとれるようにしたいもので

す。そのためには、普段から医療と福祉が障害者と家族に寄り添っていくような仕組み作りをして

いくことが必要だと思いました。
 
 今後、私たちの課題としてこのテーマは考えていきたいと思っています。

 

仮NPO法人若駒ライフサポート

理事長  大須賀裕子

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